本年もお世話になりました。
野口鍼灸、お灸教室をご利用くださったみなさまとのご縁に感謝いたします。
私事ではありますが、今年の始めは家族が難病で大きな手術をし、療養中であったため、お休みの期間もあり、みなさまには大変ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。
みなさまには、お休みをご快諾いただくどころか、温かいお心遣いやメッセージをいただき、大変励みになり、力をいただきました。
おかげさまで現在は生活も落ち着きを取り戻しつつあります。
今年はお灸教室は減らさせていただき、日々の臨床を優先させていただきながらも静かに再開しておりました。
今回、家族の病気を通じ、悩む中で、鍼灸師として学ぶことも数多くありました。
この経験が少しでも糧となり、治療の力となれば、私も報われる思いであります。
まだまだ一口には整理できず、上手にまとめることがままならないのが歯がゆいのですが…今の思いを…。
これまで私は鍼灸は「治療」であるからには、必ず症状改善につながるよう努力と研鑽をする責任があるという思いのみで、前のめりかつ長い修行期間を過ごしてきました。
けれども、根本的には治らない、治せない病気にこそ救いが必要であり、医療技術の限界を超えたところにこそ「医は仁術」の真髄があるということを感じました。
治療法が確立された誰もがかかる可能性がある疾患や症状には受け皿がたくさんあるのですが、そうでない疾患や症状は受け皿が極端に少なくなり、そこには大きな壁があるとも…。
治せなくてもいいから、少なくとも私より知識のある医療者として親身になって一緒に考えてほしい、症例数が少ないのはわかっているから、及び腰にならないでほしいという患者の家族としての心の叫びが、ブーメランのように鍼灸師としての自分に返りつきました。
鍼灸師になって12年、自信を持って治療をさせていただける部分もできてはきましたが、力が及ばないことも十分に自覚ができてきたステージです。
そんな時に、それでもご縁のあった方に対し、私ではまだまだ力及ばずで申し訳ない…と自分の未熟さに逃げ腰になるのではなく、そこは覚悟をもって、及ばないことを真摯に受け止めて、最善の努力を積み重ね、医療や別の手段におつなぎしながらも、治せないことから逃げない、見捨てない、寄り添いきる鍼灸師である度量を身に付けていきたいと思いました。
元々、当院を気に入って継続的に通ってくださる方は、鍼灸治療だけでなく、ご自分の体調を振り返る場、向き合う場としてご利用くださっています。
また私は患者さんのお話をお聴きするのが大好きなのですが、お話をされる中で患者さんが自ずと迷いが抜けたり、考えがまとまったり、何かに気づかれたりして、ご自分で力を取り戻していかれるお姿を目にし、感激することがしばしばありました。
鍼灸はそもそも、身体が本来の力で回りだすためのほんの小さなきっかけです。もちろん、そこがうまく合致すれば、とんでもない大きな変化をもたらすこともあります。
真摯に鍼灸治療を行っていくと同時に、鍼灸師である前に人としての謙虚さと誠実さを磨くことを目標にしながら、より一層努めてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
新年がみなさまにとって健やかで恵みある1年でありますように
【年末年始のお知らせ】
年末は 12/25(金) まで
年明けは 1/5 (火)から
診療いたします。